「ヨハン、そっちをお願い!」
「わかってる!」
踊るように敵を蹴り飛ばしたふわふわ髪の少女の隣で、ヨハンは敵の攻撃を屈んで避けながら足払いをかける。すぐさま起き上って天空の剣を斬りつける一方で、ソラは華麗な剣の舞を魔物の群れの中で披露した。敵が倒れると、ソラはヨハンに回復呪文を唱える。
「あなたも無茶するわね。無言呪文で敵を怯ませようとするなんて」
「てめえもな。っつか、あれも戦術なのかよ?ただ単に踊ってるだけだろ?」
「失礼ね。ああやって戦うの、結構相手の不意を突く事ができるから便利よ」
ニコッと茶目っ気たっぷりに笑う己の半身とは違う勇者を見ながら、あいつもこれくらい動きを読めないようにすればいいのに、と思ってしまう。
「ヨハン!ソラ!大丈夫!?」
そうこうしているうちに、向こうで敵をせん滅してきたらしいスーザンが走り寄ってきた。返り血を浴びたその姿に、ヨハンもソラもため息をつく。
「てめえ、またまともにやりあったのかよ。先に進んで目当てのものを取るのが目的だろーが」
「だってさ、悪い奴らはみんな退治しないといけないじゃん!」
「はいはい、とにかくここを突破するわよ。大半の敵ならティアが倒してくれたしね」
ソラの言葉に周囲を見回せば、緑の長めの髪をなびかせた青年が額の汗を拭っていた。彼の周囲には無数の魔物が亡きがらとなっていたり、気を失ったりとして倒れていた。剣の音は聞こえていたが、彼の気配はあまり感じられなかったことから、相変わらず素早いなとヨハンは思った。
此方に気付いたティアが、僅かに微笑んで指を伸ばして行先を示した。それに相槌を打ち、ソラがスーザンの手を取って駆けだしたヨハンの後に続いて走り出す。
「ほら、とっとと行くぞ」
「えー!ここの敵を退治してからにしよーよー!」
「何言ってるの。こっちのスタミナがなくなるわよ。いいから行くわよ」
「やだー!」
明るい面は同じなのにまるで真反対の女勇者の会話に呆れつつも、ヨハンはティアとハイタッチを交わし、先を進んだ。





「ゴト、そちらはどうだった?」
地獄の殺し屋と名高いキラーパンサーを従えた男が、仲間のいる広間に戻ると、先程まで戦っていた魔物たちは仲間の周囲で仲間を邪気なき目で見つめている。その様子に笑みをこぼしたシアンは、相棒のプックルをひと撫でしてから近寄る。
「いや、この先には目当ての薬草はなかったよ。あと、なかなかこの子たちが放してくれなくてね」
シアンの気配に気づいたのか、彼に人の良さ気な笑みを浮かべてゴトフリーが言った。彼の膝ではベロニャーゴが甘えている。
魔物はすべてが邪な存在ではない、だからこそ駆除すべきものとは捉えられない。その気持ちはシアンにもよくわかる。事実、先程までの戦闘で彼が心を痛めなかった事はなかった。
だが、本当に邪な魔物を目を見て判断できるシアンは、優しすぎるゴトフリーに苦笑とも微笑みともとれる笑みを浮かべ、声をかける。
「でも、あの薬草を必要としている人がいるのは事実だよ。ここの魔物が使えるように必要な量だけをわけてもらわないと。幸い、ここには話せばわかる子たちの方が多いしね」
つまり、邪悪な魔物は少数だが強い。暗にそれを伝えると、ゴトフリーも顔を引き締めて腰を上げ、ベロニャーゴに声をかけた。
「外にお行き。僕たちは少しだけキミたちの使う薬草を分けてもらうだけだから」
ゴトフリーとシアン、プックルが奥に向かって歩き出す。目的の薬草は数種類あるが、そのうち2種類を探さなければならない。
しかし、行先を阻むように現れたのは、邪気を纏う死神貴族が数体。シアンが厳しく相手を見据えたところから話の通じない相手だと理解したゴトフリーも杖を構える。と、そこに素早く割って入ったものがいた。
「キミたち!?ついてきてたのか!」
先程ゴトフリーと会話していたベロニャーゴとデビルアーマーが現れ、戦闘態勢に入る。何かの気配を感じたプックルがシアンに話しかけると、シアンも目を見開いた。先程シアンが逃がしたキングスライムやずしおう丸が戦う気満々でやってきたのだ。
ゴトフリーとシアンは目を見合わせ、僅かに笑いあう。このような状況でも心を通わせ、共に戦ってくれる新たな仲間は頼もしく嬉しい。
「ふふっ…仕方ないですね。私たちと一緒に来てくれますか?共に戦ってくれますか?」
シアンの言葉に、魔物たちは賛同した。
「じゃあ、これからよろしくね」





五月雨の用に剣を敵の群れに突き出し、岩を切り裂いてまるで雨のように瓦礫を降らせる青い髪の青年の隣で、軽業師のようにあちこちへ飛び交いながらて敵を潰していく同様の髪色を持つ青年は、高らかに呪文を唱えた。
「ライデイン!」
雷に打たれた観客から悲鳴と言う名の歓声が次々と上がる中、クオは自身と瓜二つの青年に声をかけた。
「あまりライデインを連発すんなよ。魔法の聖水だって限りがある。最深部に着くまでになくなったらどうするつもりだ」
「わりぃわりぃ!ついつい楽しくてな!ほら、お前も一発かましてやれよ!」
おだてるような言葉を言う緊張感のないロベルトの声に、クオはため息をついた。命をかけた戦いをスリルあふれるパフォーマンスだと考えるロベルトにある種の尊敬の念と呆れを抱きつつ、クオは大きく跳躍した。
洞窟内にたち並ぶ岩を飛び石のように使い、時折攻撃を加えて魔物たちの意識を自分へと向ける。そして魔物の軍団が自分の目前に迫ると、移動していた最中に込めた魔力を放つ。
「ビッグバン!」
大きな爆発が起こり、洞窟内が爆発の振動で揺れる。さらに天井からは爆発によって削がれた瓦礫が落ちてくる。ロベルトはそれすらパフォーマンスの一つとして楽しみつつ、瓦礫を避けながら次々と敵を切り裂いて行く。
的確かつ時折大胆に敵を倒すクオと、軽業師のように華麗に敵を倒すロベルト。2人が再び合流する時には、大半の魔物が殲滅させられていた。だが、油断はならない。強靭な体格を持つトロルキングが遠くから地響きを立てながら近づいて来る。
「やれやれ…またか。あれを倒したらとっとと進むぞ」
「おう!どんどん来いよっ!」
戦況を見定める冷静な青年と、戦況を楽しめる快活な青年が駆けだした。





この後、外に出た戦士達はアベルとシアンが仲間にした魔物の量に驚くことになる。
 
 

 

 

 

(感想)

いつもお世話になっております夏ミカン様からいただきました。

その次第は1の感想でも書きましたが互いにロト組、天空、その他の人々の交流を書こうと某所で約束したと、そういうわけです。

 

この「バトル・スタイル2」は、お分かりの通り天空組です。以下、1同様拝読して抱いた感想というかなんというかをリアルタイムな感じで粗雑な箇条書きにて書かせてもらいます。

 

・ヨハンの口の悪さと足払いありがとうございます。

・ソラさんの舞踏な剣術良いですよね、これはイラスト化を…(期待の眼差し)

・スーザン血を拭きなさい!笑

・不言実行がティアさんですよね、さすがです。

・ゴドフリー……また仲間できたの……。

・シアンさんどうもすみません、ゆるーい拙宅Ⅴ主で。

・シアンさんとゴドフリーの差大きいなあ。

・ロベルトが楽しそうで良かったです、本当にありがとうございます。

・クオさんには毎度ご迷惑を以下略

・クオさn模範的なお兄ちゃんですね。

・魔物は間違いなく拙宅主人公の活動の場に移住になると思います。

 

例の如く箇条書きにした意味があまり自分でもあるのかどうか微妙だと思うのですが、細かいことは置いておいて感覚で行きたいと思います。

 

天空もとことん違いますですねー。外見は大体似てるのにお前は何を言っているんだという感じでしょうがあれです、私が言いたいのは中身のことです。

 

天空組だけではなく、夏ミカン様の主人公は全体的に人格や雰囲気などが明るく柔らかいと思います。私の方は全体的に尖っていたりギラギラしていたり暗かったりとそんな感じです。Ⅳ男主人公が比較のいい例かと。天使のようでまさに天空人といった印象のティアさんとめっちゃ人臭いヨハン。WⅢ主やⅤ主なども結構差がありますが、Ⅳ男主が一番互いのサイトの象徴っぽくなってるかなと勝手に思ってるんですが……どうなんでしょう?

 

比較以外のこともお話できたらいいんですが、あいにく上手い話が思いつきませんで。本当に蛇足でしかない感想になっていて私はとても悲しいです。

 

では夏ミカン様、この度はありがとうございました。

 

 

 

20140906