❤︎後書き



アンケートで世界観について説明が欲しいとの声をもらいましたので、追記します。


ただ、世界観について説明するにあたりまして、この話を書いた動機を話したほうがいいかと思いましたので書きました。

長くなったので、序論、本論、結論に分けてまとめました。

書き手の妄想について来られるものならついて来いという気持ちで書きましたので、時間を無駄にしないために、読まないことをお勧めします。






[chapter:序論〜愛の暴走〜]



書き手はDCが好きです。「真実はいつも一つ!」という作品コンセプトと、毎度展開される非常に論理的な事件トリックが凄いと感じております。


その一方で、だからこそあの、いつまでもコナン君が進級しないし歳を取らない世界観を合理化して解釈したいという欲求を常に抱えていました。コナン君は非科学的なものは存在しないと言います。ですがあの世界では春夏秋冬が廻り、新たな出会いと別れがあり、しかもコナン君は歳を取らない。しかも凄い数の人が死ぬ。事件がめちゃくちゃ起きる。


勿論、ミステリーもので、月刊誌の顔だからだという現実の事情は百も承知です。コナン君の推理を、作者先生の気の向く限り、いつまでも追い続けていたいと思っています。



だからこそ、捏造上等のn次創作で、この矛盾を合理的に解釈することに挑戦したかったのです。









[chapter:本論]

 ❤︎一節 〜二次元に対する一般的な解〜


DCの世界には、非科学的な以下の特徴があります。


1.物語が始まった時点から何度も出会いと別れがあり、季節も廻っているが、メインとなる登場人物は歳を取らない。(ただ最近修学旅行編などもあったので、工藤新一の高校二年生としての時間は進んでいるらしい様子はある)

2.人が結構死ぬ。時間の経過に対して、事件の起こる頻度が凄い。



これをコナン君のように「科学的である」と見なして普通に過ごすためにはどのような思考をしていればきいかについて、私は以下の項目を考えました。


1'DCの世界とこちらの世界とでは気候が異なる。DCの方は春夏秋冬を頻繁に繰り返す。

1"DCの世界とこちらの世界とでは一年の基準が異なる。DCの方が遥かに長い。


2'米花町の治安が悪い。

2"日本の治安が悪い。

2'''DCの世界ではこれが標準。だから私立探偵がもて囃される。




きっとそういうことなんだろうな〜と思います。DCの住人達と私達の常識は異なるのです。









 ❤︎二節 〜二次元に焦がれた感情の暴走〜


でも、そこを敢えてこちらの感覚で書いてみたい。私のこの、


「DC世界すげえ!!」

「コナン君もみんなも歳取らないの!?いいなー!!」

「年取らないのは、コナン君的に納得なんだろうか…」

「人がまた死んだ!ヒュー!!」

「こんなに人が死ぬことに対して、コナン君はどう思ってるんだろうか…」


という気持ちを込めたい!!!




あと、コナン君の事件遭遇率および解決率がやばすぎてもはや一種の能力者なんじゃないかとすら思えてきたので、いっそ能力者にしてしまえと思いました。




それがこの「ブアメードの雫」が誤って生まれてしまったきっかけでした。










 ❤︎三節 〜$⊂P的視点からの創作〜


ところで、米国発祥の怪奇小説創作サイトに、「ある架空の財団法人が反自然科学的な事物・現象・生物を確保、収容、調査した結果をまとめているデータベース」という形式を取っているものがあります。これが「ブアメードの雫」の特殊存在保護財団のモデルです。通称$⊂P財団と呼ばれています。


その財団では、多くの職員が反自然科学的なモノ(オブジェクトと呼ばれます)について知るため研究し、全ては解明できないまでも共存の方法や手段を追究しています。笑いあり涙あり不気味あり殺伐あり命懸けの危険あり、最高です。



財団では超能力者的な凄い力を持つ人達も扱っています。施設に収容したり、研究したりしています。

だから、工藤新一をはじめとした本編の反自然科学的なものも、そういう凄い力を持つオブジェクトとして書いてみたら面白いのではないかと思いました。



「工藤新一は興味を持った『謎』を必ず『解決』してしまう。工藤新一の感知した『謎』と見なされる事象を起こした人間は、必ず現在判明している科学的な観点から説明できる犯罪を行ってしまう。なお本人は自分の特性を自覚していない。科学は万能なのだと信じている」

「DCの世界は『名探偵と犯人』という偶像が人々の中に強く根付いており、探偵も犯人も多く発生する」

「米花町は人間の率直な望みを形にする町である。だから犯罪も多いが笑顔も多い」



そのような形で「工藤新一」「名探偵」「犯人」「米花町」を特殊な力を持つものとして解釈する$⊂P財団的創作も、ハム式ではあり得ないからこそちょっとは面白いかなと思いました。







 ❤︎四節 〜隆志を添えて〜


それから書き手は隆志が好きです。隆志は本編ではまともに会ってませんけど、降谷の回想などの様子を見ていると、今後絡みそうな気がします。


二人は共通点が多いです。黒の組織に所属している、または所属していた。大事な人間を亡くしている。秘密が多い。所属する組織や周囲の人間に従って行動をしている。犯罪紛いもしくはそのものな行為に手を染めている。


CPとして非常に素晴らしい親和性だと思いました。


さらに二人とも$⊂P財団職員としてぴったりなのです。高い能力、法に反する行為にも手を染めたことがある、でも道徳心は確かにある。まさに財団職員です。



二人とも工藤新一と張り合えるキャラクターです。


二人で協力する姿とか見てみたい。


ブラックジョークを交わしてほしい。


憎まれ口を叩いたり、相手を信用できないような素振りをして欲しい。


それでも心の底では「嘘でもいいから一緒にいてほしい。いなくなられたら困る」と思っていてほしい。




そんなわけで採用しました。












[chapter:結論]



DCへのパッションを詰めるだけ詰め込んだら

よく分からない$⊂Pパロディになった

ごめんなさい









❤︎世界観




「真実は一つじゃないかもしれない」世界です。







不確か。暗い。ブラックジョーク。感傷。ややオカルト。ちょっとバイオレンス。そういうものが詰まってます。





志保ちゃんの未来を考えた時に立ちはだかる「志保ちゃんは自分の過去をどう捉えていくか問題」については、背負っていくしかないという結論に達します。






本文中で降谷さんが語っているのですが、

強い情報(感情、思考、概念など)が人に強い影響を与える世界です。


犯人と名探偵が対立するストーリーが人々の無意識に強く根付いています。

だから名探偵は絶賛され、犯人も生まれやすいです。


工藤新一は「『謎』を現在わかっている科学で説明できるように解決できる」という、科学的に解明できない特殊な能力を持っています。


米花町は「人が率直になれる町」という科学的に解明できない特殊な性質を持った町です。だから犯罪も多いけど笑顔も多いです。


彼や米花町のような特殊な性質を持つものについて研究する組織があります。「特殊存在保護財団」と呼ばれています。



特殊存在保護財団は人類の脅威になるかもしれない、科学的に解明できない「未知」への対処の研究を目的とした組織です。研究の結果、人類にとってかなり危険なものだと判断したら処分することもあります。特に問題なければ放っておくこともあります。



財団は人類を「未知」に怯えさせないために、秘密裏に活動を行なっています。うっかり「未知」と遭遇してしまった、または財団にとって不都合なものを見てしまった人間の記憶は消します。ペンライト型の記憶処理器で消します。





そんな世界で隆志は生きていきます。


まい・べすと・おぶ・ふるしほを詰めようとした話です。















❤︎タイトルについて




その昔、戦争中にブアメードという捕虜を使って実験をしました。

「人間は血を◼︎%失ったら死にます」

ブアメードにそう言ってから、目を覆い、足に傷をつけて、処置をしないまま、彼の傷から血がどのくらい流れたかを、今何%失われたかを報告します。

ぴちょん、ぴちょん、と血の垂れる音を聞きながら、ブアメードはちょうど◼︎%の時に亡くなってしまったのです。


ところが実際は、彼の足から血は垂れていませんでした。水の滴る音をブアメードに聞かせていただけで、ブアメードの血は致死量に至るほど流れてはいなかったのです。



こうしてブアメードは、致死量に至る血を失ってしまったという情報で、ショック死してしまったのでした。






──という、創作物でお馴染みの話からタイトルを取りました。

実際、いつ、どこで、どのように行われたかという記録が残っていないので、都市伝説のようなものだと言われています。

















❤︎あらすじ三行


素直じゃないふるしほが

お互いを生かすために

わけわからん組織で頑張って戦う話




















❤︎人物


宮野志保(20)

 特殊存在保護財団研究員。米花町に住む仲間達に危害を与えないため、また自分の身の処分に困ったため、入団した。表向きは警察庁科学捜査研究所に所属していることになっている。

 過去に犯した罪は、彼女がいた研究所が燃えてしまったため、証拠不十分で検挙すらできない。生きていくにも何も原動力となるものがなく、さらに作中で発覚した工藤と米花町の件で、科学者として限界を覚えてしまったので、自殺しようとした。 言われるがまま任務を遂行して生きており、自分を必要とする誰かに弱い。

【対人意識】

✳︎降谷零

「貴方もよくやるわね」

…過去に暗いものを含む者同士で親近感を覚えていたが、共に死ぬ約束をしてからは彼への強い執着が芽生えつつあり、ずっと一緒にいたいという気持ちと、これ以上はいけないという気持ちの間で揺れている。

✳︎風見裕也

「貧相で地味なマクレーンね」

…不憫で悪運の強い一般人という認識。

✳︎工藤新一

「馬鹿ね」

…尊い相棒。幸せになってほしいが、あまりの事件遭遇解決率と本人の気付かなさに半分呆れている。

✳︎毛利蘭

「天使は天使らしく、幸せに笑ってて欲しいわ」

…命の危機を身を呈して守ってくれた恩人。そのおおらかな優しさに姉を重ねていることもあり、彼女が幸せにならなかったら許せないと思っている。

✳︎阿笠博士

「ごめんなさい」

…会いたい、謝りたいとは思うが、もう巻き込みたくない。

✳︎赤井秀一

「今は顔を合わせたくないわね」

…自分のことなど放っておいてくれていいのにと思いながら、何も言わず出てきてしまった罪悪感を抱いている。組んでいる相方のこともあるので、顔を合わせてしまったらどうしようと思っている。




降谷零(31)

 警察庁公安部所属。米花町から姿を消した宮野を追って、特殊存在保護財団のエージェントとなる。

 国を守るため、昼夜問わず脳みそから手足まで全身の筋肉を駆使しているハイスペックな公僕。しかし、宮野志保に対する自身の強い思いの正体が分からず困惑している。とりあえず彼女の生命活動の維持を優先し、一緒に死ぬ約束を取り付けて体も繋げた。

【対人意識】

✳︎宮野志保

「困ったな」

…彼女はどうしたら過去から解き放たれるのか。生き延びてくれるのか。幸せになれるのか。そんなことばかり考えている。

✳︎風見裕也

「後はやっておけ」

…仕事の後処理は大体まわす。

✳︎工藤新一

「大した頭脳だ。そのまま事件だけ追っててくれ」

…一目置いている。宮野には関わって欲しくない。

✳︎阿笠博士

「俺が志保さんを守ります」

…工藤新一を避けるために何も言えないが、感謝している。

✳︎赤井秀一

「赤井ぃぃぃ!」

…赤井ぃぃぃ!




風見裕也(32)

 警察庁公安部所属。降谷に未だ巻き込まれ続けているせいで、特殊存在保護財団の準エージェントになってしまった不憫な男。

【対人意識】

✳︎降谷零

「降谷さん!」

…またそうやって!待ってくださいよ!

✳︎宮野志保

「近付いたら怖い美女」

…遥かに年下なのだが、少女という感じがしない。近付いたら怖そう。本人がというより、上司とか上司とかその他諸々。

✳︎工藤新一

「次こそ、近付いたらどんな目に遭うか」

…宮野の件、降谷の件など、思い浮かべるだけで冷や汗が流れそうなので、万が一遭遇した時の対処マニュアルを考えている。

✳︎阿笠博士

「貴方の技術のおかげで俺は、俺の眼鏡は……」

…悪いのは降谷だと分かっている。

✳︎赤井秀一

「降谷さんと出会いませんように」

…特に米花町では出会いませんように。




工藤新一(19)

 素顔に戻った名探偵。本人は、全てを論理的に解決できると考えている科学主義者だが、実は「彼の気にした謎は全て解決する」という、科学的に解明できない特殊な性質を持っているため、特殊存在として財団に目をつけられている。管理番号は「910せ_8510」。過去に何度かSCPに強制収容されかけているが、その度に脱走した。その頃のことは記憶処置を受けているため覚えていない。

【対人意識】

✳︎宮野志保

「生きてるのか?」

…心配と怒り。行方が分からないのを歯がゆく思っている。

✳︎降谷零

「相変わらず掴めねえな」

…いつでも飄々としていて、何を考えているか分からないので、彼の言動には細心の注意を払っている。

✳︎風見裕也

「最近見かけねえ」

…降谷さんの手がかりになりそうなのにな、と思っている。

✳︎阿笠博士

「博士のせいじゃねえよ」

…落ち込まないで欲しい。

✳︎赤井秀一

「宮野見ませんでした?」

…マメに連絡を取っている。






赤井秀一(34)

 名前しか出せなかった。だって話が長くなったんだもの。

【対人意識】

✳︎宮野志保

「どこにいるんだ」

…行方を探している。

✳︎降谷零

「落ち着け」

…気持ちはよくわかるが。

✳︎風見裕也

「そんな人がいたかな」

…そもそも接触してない。

✳︎工藤新一

「俺の方も見つからない」

…マメに連絡を取っている。

✳︎阿笠博士

「すまないことをした」

…落ち込まないで欲しい。




阿笠博士(54)

 みんなのヒロシですぞー!

【対人意識】

✳︎宮野志保

「哀くん……」

…悲しみが深い。

✳︎降谷零

「最近見かけないのぉ」

…ポアロをやめたので。

✳︎風見裕也

「新一が話しておったかな」

…接触してない。

✳︎工藤新一

「すまんのぉ」

…宮野の件で申し訳なく思っている。

✳︎赤井秀一

「哀くんを見つけたら教えてくれんじゃろか」

…やっぱり気になる。





















❤︎オブジェクト


人類の叡智の及ばない能力・性質を持つ事物・現象・生物などを指す。個々に管理番号がつけられている。


・81か_4869

 東京都米花市米花町のこと。詳しくは作中記事参照。

 管理番号は町の名前と名探偵の語呂合わせ。

 欲望の街。人呼んで日本のゴッサムシティ。

 素直な心情を吐露することを至上とするこの街だから、犯罪も涙も笑顔も絶えないのかもしれない。



・910せ_8510

 工藤新一のこと。詳しくは作中記事および人物の頁を参照。

 管理番号は「くどうせ_やかて」。






【本編に登場しなかったがネタとして置いておくオブジェクトたち】


・意味深な酒場

 都内某所、深夜帯に不規則に現れる酒場。場所型オブジェクト。薄暗いバーには客やスタッフの姿もなく、カウンターに多種多様な酒のボトルが並んでいる。訪れた者が席に着くと、数種のボトルが会話を始める。彼らは必ず犯罪について語り、話した内容はその後実際にどこかで発生する。なお、最後に話したボトルの種類によって酒場の状況が変貌する。キール、バーボンが会話を閉じた場合は何も起こらず無事帰れるが、それ以外のボトルが話し終えた場合、不気味な男が追いかけてくる、全てのボトルに眼球が浮かんで見つめてくる、妖艶な女が酒場の奥に引きずり込もうとしてくる、銃弾が酒場内を飛び交う、などの現象が起こる。帰ってこられなくなった者に関する情報は、現在入手できていない。


・A氏の誰もいなくなる発明

 黒づくめの男が現れ、「高名な発明家A氏の発明品です」といってある物を置いて立ち去る。その物品を届けられた者は、翌日クイズしか話さなくなる。

 A氏が誰なのか分からないが、阿笠博士は自分ではないと言っている。


・怪盗の予期せぬ予告状

 怪盗キッドの仕込んだ予告状に、百分の一以下の確率で発生する現象オブジェクト。キッド本人が準備したわけではないが、デザインが非常によく似ている。書いてある予告の内容は必ず発生する。


・白い鼻血

 意中の相手を見て興奮すると、極稀に鼻から精液が噴き出すという現象オブジェクト。感染のきっかけは不明だが、解決のためには意中の相手と性交渉をするしかない。何かにつけて気障なGOSYOの男達にやらせたら、真面目なファンに非常に怒られそう。誰か書いて欲しい。


・平和な青酸カリ

 「ペロッ……これは青酸カリ!」とした時に、それを盛った犯人が舐めた時にだけアーモンドパウダーの味がするという事物オブジェクト。外見は一般的な青酸カリと変わりない。


・暴走する繊維

 来たるべき時が来た時にセクシーシーンを演出する事物オブジェクト。一般的な繊維として布や衣類に擬態していることが多く、そうして日常に紛れ込み、急に暴走して纏う者を露出させる。暴走の条件は不明だが、好意を抱く者同士が鉢合わせた時や、非常に好意を抱かれている者などに起こるようである。これまで観測された例として、タオルが落ちたり服が崩壊したりスカートがめくれたりといったことがあった。


・ポエマーなナイフ

 物騒ながら小洒落た言い回しをする銀のナイフ型オブジェクト。「天使」「地獄」「血」などの凡人には選択する勇気の出ない言葉選びをする。


・もろたで

 何かをジャックする現象オブジェクト。ジャックされたものはもれなく西の高校生探偵服部平次を宣伝する内容になる。なお、服部平次がそれを見ると元に戻る。