※どこかお互いにとっての異世界にいるという設定です。





#1 ひねくれ勇者は空気に弱い
ソロ「やーどうもー! 話にゃ聞いてたけどマジで似てんな、俺ら!」
ティア「うん、そうだね」
 沈黙。ソロがずずいと近寄る。
ソロ「お互いくそイケメンだし? 女が放っとかなかったんじゃねーの? え?」
 ティア、赤面する。ソロ、にやりと口角を吊り上げる。
ソロ「お、その様子はアタリだな? ほれ、俺に言ってみ?」
ティア「言うほどのこと、ない……」
 沈黙。
ソロ「そんな謙遜すんなって! のろけでも何でもいいから話してみろよ!」
 ティアははにかんでから目線を下げて、ぽつりと呟く。
ティア「いきなり、言われると……恥ずかしい……かな」
 ソロ、急にしゃがみ込む。ティアは不思議そうに見下ろす。ソロ、口パクだけで吐くように言う。
ソロ「駄目だ、会話できる気がしねえ……っ!」


#2 優しさの形は人それぞれ
アベル「そっか、じゃあお互い結構似てるんだね」
シアン「うん、そうみたいだ」
アベル「こんなにシンクロしてる世界があるなんて驚いたな。僕達だけじゃなくて、アルスやエイト、ナインの世界もそうみたいだし」
 その時、重い音と共に地が震える。
シアン「何だろう、今の揺れは?」
アベル「さっきレック達が行った方向から、音が聞こえたような気がする」
シアン「……そう言えば、君の所のレックは随分元気な性格のようだったね」
アベル「ああ、まあ……やんちゃなところもあるけど良い子だよ?」
シアン「何だかそれを聞いたら心配、いや不安になってきた。行ってみようかな」
アベル「うーん。二人ともとりあえず成年だし、任せといてもいいんじゃないかな?」
シアン「成年でも何かしでかした時は誰かが方向を直さないと」
アベル「そ、そうかな……」


#3 王子の形も人それぞれ
クオ「危ないだろ洞窟でギガデインなんか唱えたら!!」
レック「ははは悪ぃ悪ぃ! まさか呪文が乱反射する洞窟だとは思わなかったなー、すっげー!」
クオ「天井が一部抜けただけで済んだのが奇跡だぞ、本当に! 聞いてるのか!?」
レック「この洞窟マジすっげーな! マホカンタでもかかってんのかな? 洞窟全体にかかってるのか……いやでもそれだと誰かがかけたってことになる? でもそしたら使う魔力半端なくね?」
クオ「おい、レック!」
レック「これちょっと持って帰っちゃ駄目かな。バーバラかチャモロなら原因調べられそう」
クオ「おーいどこ行くんだーっ」
レック「バーバラ喜ぶだろうなあ。あーバーバラに会いたい。会ってハグしてそしたらえっと……」
クオ「無視するな! それから置いてくな! ……え? ちょっと何してるんだよ。何で剣にギガデイン込めてるんだ? そんなことしたらえ、やめ――」


#4 少年よ、興味を抱け
アクア「また凄い音がしたね!」
アルス「煙があっちから上がってるなあ。そう言えばレック達があっちに行ったような気が……」
アクア「あっちって何があるの?」
アルス「僕もあまり詳しくないけど、確か洞窟があったと思うよ」
アクア「洞窟かあ! 何かここって不思議な場所だし、その洞窟にも何かあるんじゃないかな?」
アルス「あ、そうかも。そう考えると、ちょっと気になってきた」
アクア「行ってみる?」
アルス「うん、行こう」


#5 二度あることは三度ある
エイト「アルス達だ」
ライト「音のした方に行くみたいだね」
エイト「さっきの音、何となく原因に予想がつくんだよなあ」
ライト「原因? ここのこと詳しいの?」
エイト「ああ、そうじゃないんだ。ここのことは初めてだからよく知らない。でも、あっちにうちのレックが行ったってことを考えるとどうも関係しているような気がして」
ライト「そっちのレック?」
エイト「クオさんに迷惑かけてなきゃいいけど……まあザオリク使えるアルスが行ったし、いざって時が来ても大丈夫だよきっと」
ライト「ザオリク使うようなことになるの?」
 ライトの言葉に答えるように、三度目の衝撃が足下を揺らす。
エイト「……行った方がいいかな」
ライト「僕、クオのことが心配になってきたかも」
エイト「うんそうだよね。ごめん、一緒に来てくれる?」
ライト「勿論だよ」
エイト「君達に命の危険が及ぶようなことになったら、俺が責任取る」
ライト「……大丈夫だよ、多分」


#6 微笑むのは勝利の天使
ネオ「ナイン、何をしているんですか?」
ナイン「調査です」
 ネオは足下を見下ろす。ナインが一面の花畑に俯せに倒れている。
ネオ「いや、花を楽しんでいるようにしか見えないけど」
ナイン「調査なんです。この花達、とても良い香りがします。見た目はマーガレットのようですが香りは藤の花のようです。成分もよく似ています。蜂が好みそうな良い香りです」
 ナイン、仰向けになる。
ナイン「それに加えてこの花、いやこの葉も、土も、空気も、何もかも――」
 ナイン、急に起き上がって両手を広げて前を凝視する。ネオ、彼の目線を追う。するとその方向、花畑より森を挟んだその向こうに、巨大な竜巻が立ち上る。
ナイン「やはり、空間一立方メートル辺りに含む魔力が異様に高いです」
ネオ「今の竜巻は君がやったんですか?」
ナイン「いいえ。ちょうどシアンさんがバギクロスを使う気配がしたので、試しに彼の呪文発動時にあの周辺の魔力をかき集めてみたのです。ざっと計算するだけでも、彼自身は通常量の魔力を消化したにも関わらず、その三倍以上の効果が出ましたね」
ネオ「どうしてシアンさんは」
 言いかけて、ネオは黙る。ナインがあ、と声をあげる。
ナイン「すったもんだでレックさんの気配が感じられなくなりました。これはザオリクですね」
 ネオは似た外見にも関わらず中身の随分違う彼を見下ろす。それから微笑を浮かべて首を横に振る。
ネオ「僕たちも行きましょうか」
ナイン「はい」





(後書き)
いつもお世話になっております夏ミカンさんとついったでお話ししていて、宣言したとおり皆さんをお借りしました。台本のような台詞の群れのような、そんな曖昧な感じで申し訳ありません。

繋げて書くのが楽しかったです。Ⅶ主の違いがあまりでなかったかなという感じがします。うーむ。
とりあえず、うちの勇者達はやや難ありだということがよく分かりました。

あとはエックスさんもお借りしてうちのⅢ主♀と絡ませてみたかったのですが、Ⅸでオチがついたので一人だけお招きできない結果になってしまいました。エックスさんすみません。

では夏ミカンさん、この度はお貸し下さりありがとうございました!
またここまでお読み下さり、ありがとうございました。



20140125