遊園地なんて来たの、久しぶりだな。アレンはプチノンアイスを咥えて自分を取り巻く景色を見回す。休日というだけあって、ドラクエランドは国中の人がほとんど集まっているのではないかという混みようだった。家族連れ、恋人達、学生の集まり、子供達、皆それぞれ楽しそうに束の間の夢の国を満喫している。彼のいるオープンテラスの脇を、思い思いに騒ぎながら通り過ぎていく。

 

「次は何に乗る?」

 

 白い丸テーブルの向かいに座るアレクが訊ねる。しっかりアイロンがけされたシャツにニットを重ね、いかにもといった好青年っぷりである。

 卓上にはハーブの擦り込まれた骨付き肉、栄養たっぷりなアンチョビサンド、大きなピンクのハートが特徴の豪商の愛妻弁当、色合い豊かなもりもりチーズピザ、わかめ王子とパプリカンのサラダなどの料理が勢ぞろいし、中央にはこの遊園地の地図が広げられている。円形に腰掛ける八人が一様に身を乗り出す。

 

「オレトロッコ洞窟行きたいっ!」

 

 ライムが真っ先に手を挙げる。カジュアルな私服の彼を見るのも久しぶりだ。やんちゃなパーカーがよく似合っている。

 すると、アレクは珍しくあからさまに渋る顔をした。

 

「えー、絶叫はやだよ。ねえみんな?」

「うーん……」

 

   頭に装着したプリズニャンのカチューシャが意外に似合う美青年は細い眉根を寄せる。クラシカルなシャツにベスト、パンツでまとめていて大人びた風の彼、サルムもやや迷っているようだ。涼しい顔をして乗りそうだと思っていたのだが、意外である。

 

「わ、私は興味あるけどどうしよう。ちょっと怖いかも」

 

 幼いマリアは兄達の様子を見てそわそわしている。裾にフリルの舞うスカートと頭につけたモーモンのカチューシャが可愛らしい。

 

「大丈夫だよ、みんないれば何も怖くないって」

 

 及び腰の四兄妹に気楽な声をかけるのは自分のはとこ、サタルである。ジャケットに細身のスラックスを着こなし短い黒髪を軽く遊ばせる彼は身内贔屓を抜いてもイケメンの部類に入るのだろうが、ちょっとチャラい。本人の雰囲気のせいだろう。

 

「なあアレフ?」

「はい、いけます!」

 

 従兄のアレフは即答する。彼がサタルの問いにいいえと答えるわけがない。

 

「ほら、案外いけるから乗ってみたら? 楽しいよ?」

「やだよ絶対ダメ! あんな危ないの!」

 

 アレクは拳を握って頭を横に振る。そっちか、危険性が気になるのか。まあ怖さもあるのだろうが。

 

「じゃあ、あとで乗りたい人が乗ればいいじゃないの」

 

 とりなしたのはサタルの双子の姉、サンドラである。余裕のあるシャツをベルトでまとめ、スキニーパンツにブーツを穿いた姿はいつにも増して凛々しい。

 

「マリアちゃん、あとでイッツアワンダーランド乗りたいって言ってたわよね?」

「はい!」

「その時に絶叫が好きな人達はトロッコ洞窟に行ってみたら? 苦手な人はイッツアワンダーランドとか、妖精の国方面に行ってみましょうよ」

「時間はどうする?」

 

 アレクが訊ねる。サンドラはちらりと腕時計を見る。

 

「二時間見れば十分だと思うけど、携帯で連絡取りましょう。どう?」

「おっけー! あとみんなで回りたいところも決めよう!」

 

 ライムが提案する。マリアが明るい笑顔をはじけさせた。

 

「私ベラのお部屋が見たい!」

「よし、じゃあ僕もついて行こう。サルムは?」

「えーと……マール・デ・ドラゴーンの外周遊泳を」

「それは良いな」

「レヌール城も行こうよ。ね?」

「怖そうなとこばっかあげんなよアンタは」

 

 アレクがマリアに微笑みかけ、彼に話を振られたサルムは控えめに答え、アレフは頷いて同意する。最後のサタルの提案にはアレンがツッコミを入れた。

 彼らのスケジュール談義は食事の間、絶えることなく続いた。

 夢の国訪問譚は、まだまだこれからである。

 

 

 

 

 

(後書き)

夏ミカン様にリクエスト頂きました、「現代パロディで主人公交流」再提出品です。夏ミカン様宅ロト組をお借りしました。あとうちのロト組を出しました。

現代パロディとついったで某方と呟いていた某夢の国のDQ版、ドラクエランドをコラボさせてみました。他にも遊べるものはいっぱいあります。

 

夏ミカン様宅ロトさん達は兄妹です。うちのは親戚関係です。服装分かりません。こんなんでいいんでしょうか。移り変わるものは分からない。

 

夏ミカン様のみお持ち帰り可とさせていただきます。何か違和感ございましたら何なりとお申し付けくださいませ。この度は主人公さんをお貸しくださりありがとうございました。

 

そして皆様、ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

またお会いできましたら幸いです。

 

 

 

20150224