合わせ鏡の影法師

 

 初代ローレシア王の直系の子孫。

 ローレシア王国第一王子。

 魔法が使えない。

 そこまで同じなのに、ソイツの瞳はどこまでも素直な光をたたえた真円。目が合う度、腹の底が落ち着かなくなる。

 お前のことはよくわからないがとにかく殴りたい。

 そう思ったし、実際言った。

 するとソイツはもとから丸い目をさらに丸くして言った。

「アレンは嫌なことがあったのか? おれでよければ相手になるぞ!」

 白い歯を見せ、両腕を広げる。

 冗談でも殴りたいと言った相手に急所を晒すなんて、俺には考えられない。

「本当に腹が立つな」

 握りしめた拳は、振りかぶれない。

 

[ローレ(Ⅱ主人公)+アレン]